-発災直後の障害者が置かれる状況の想定-

1、障害者にとって避難所が避難所たり得ない現実

 東日本大震災の経験から、熊本地震の場合も、障害者は避難所で避難生活を送ることがきわめて困難な状況に置かれ、避難所を出る人や避難所にいても必要なサービスもなく孤立した状態に置かれることを想定。

 

2、災害時における障害者と社会資源との関わりとの関係での分類

1)入所、入院している障害者

・この場合、入所施設や病院側の対応が可能。

・施設被害、スタッフ不足、物資不足は、施設間のネットワークによる相互支援が迅速に行われる可能性が強い。

2)通所、通院している障害者

・この場合、通所施設や病院による安否確認や必要な個別支援への対応が一応可能。

・通所の施設が避難所としての機能を果たす場合もある。

・しかし、1)と異なり、災害時に施設や病院にいなかった場合、その通所施設や病院の力量しだいでは、安否確認やその後の必要な個別支援に対応できないところも存在。

3)在宅で生活しているが、居宅介護などの在宅福祉サービスを受けている障害者

・この場合、在宅の福祉サービスを提供する事業所により、日頃の居住地は確認できる。

・しかし、利用者が避難所にいる場合など、連絡が取れない可能性も大きい。

・確認が取れれば、安否確認や必要な個別支援への対応が一応可であるが、個別ニーズに対応できるだけの対応能力が被災によって打撃を受けている場合も多い。

4)在宅で生活しているが、障害福祉サービスを受けていない障害者

・これらの障害者は、普段は福祉サービスを受けることなく日常生活、社会生活ができる人であるか、または、本来であれば福祉サービスを必要としているが、サービス受給にまでは至っていない人である。

・しかし、ひとたび災害が起きると支援なくして生活できない状態に陥る人が多い。

・この場合、支援する側の積極的なアプローチがなければ、安否確認や必要な個別支援へなど、何もなされまま放置される可能性が強い。

5)障害者団体などの会員登録している障害者

・上記、1)から4)の分類とは別に、1)から4)の障害者の中で、障害者団体の会員である場合もある。

・会員登録している障害者については、障害者団体による安否確認や必要な個別支援への対応が一応可能である。

・しかし、障害者団体の組織率は高くはなく、会員名簿が不十分であったり、組織として安否確認や必要な個別支援への対応ができないところも多い。

 

3、障害者に関する3種のデータと安否確認・状況把握

1)障害者手帳の台帳

・手帳を所持しない人もいるので、すべての障害者を網羅したものではないが、公的データとしては最も広くカバーしている。

・しかし、住居移転の際にデータが更新されているか、携帯電話なども記載されているのか、手帳更新のない身体障害などについては、古いデータのままである可能性も高い。

2)障害福祉サービスの受給者台帳

・障害者総合福祉法などの福祉サービスの受給者に関するデータであり、データとしては、1)より範囲は狭いが、災害直近の障害の状況、受給しているサービスの内容、連絡先など、より詳しい情報が集約されている。

3)災害時要援護者名簿の中の障害者に関するデータ

・市町村によっては未だ策定されていない可能性もある。登録名簿の数も名簿作成時点での周知の仕方で大きく違うのではないかと想定される。

4)安否確認と状況把握

・災害時にほぼ確実に安否確認・状況把握がなされる障害者から、全く連絡の取れない障害者まで存在する。

・入所から在宅までの福祉サービスのつながっている障害者は障害者全体の中で、おおざっぱに言って3分の1、もしくは4分の1程度であると思われる。

・従って、福祉的支援の網の目から漏れる障害者の安否確認と状況把握には、障害者手帳台帳の開示とそれに基づく迅速で十分な調査のための調査体制の構築が必要不可欠である。

・しかし、行政だけでこれを行える能力はないため、行政と障害関連団体との連携した調査を行うほかに方法はないが、情報公開のあり方として、どういった開示がなされ、どういった団体によって、どれだけ体制でなされるのか、行政による事前の想定があったとは思えない中で、どう具体化するのか、大きな課題となると思われる(以後、動きが出ている)。

-センターの初動方針ー

以上の想定を元に、当センターのきわめて初期の活動方針を次の通りとした。

1、障害者の被災状況の全体把握

 安否確認・状況把握を念頭に、①避難所、②入所・通所施設を中心とした調査を行い、障害者の被災状況、避難状況の全体的把握を行う。

 

2、SOS等のチラシの配布

 当センターの存在とSOSの連絡先を記載したチラシを①行政関係機関、②行政関係機関、③社会福祉協議会、④ボランティアセンター、⑤避難所、⑥障害関連の事業所、⑦災害支援の様々なNPOなどに大量に配布する。

 

3、個別支援

 SOSチラシ、ホームページ、フェイスブック、NHKのテロップなどによって、当センターにお寄せいただいた個別相談に対して、電話または面談の上、制度的に用意されている障害福祉サービスの枠にはまらない非定型的な支援も含めて具体的個別的な支援に当たる。